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Letters From SPARX ~2021年6月 月報まとめ~

こんにちは!スパークス・アセット・マネジメント、公式note運営チームです。

スパークスでは各投資信託(ファンド)の動き、今後の方針等を説明するレポートを毎月出しております。(月次レポート)
株式市場の振り返り、今後の見通し、注目する業界、企業・・・日々運用調査を行っているファンドマネジャーによるレポートは、ただファンドの情報を得るだけでなく、今後の世界がどのようになっているのか、想像するヒントになると感じます。

各ファンドの内容について概要をまとめてみましたので、興味のある内容について、ぜひリンク先でご覧になってみてください。


【日本株式長期厳選投資戦略】

スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)

今回は直近株価上昇が目立った銀行株と半導体関連株に投資をしない理由や、過去12か月で行った新規投資企業についてご紹介しています。

今年前半に株価上昇が目立った銘柄の例として、銀行株と半導体関連株が挙げられます。残念ながら、これらの企業は当ファンドのポートフォリオでは投資を行っておりません。しかし、これには理由があります。
銀行株では、国内長期金利が昨年までのマイナス水準から上昇に転じたことが追い風となりましたが、肝心の借入需要の盛り上がりについて当ファンドは依然懐疑的です。(中略)銀行株は極端に割安であった株価からの水準訂正がまだ続くかもしれませんが、資本収益性が低く、成長性の乏しいビジネスを手掛ける企業はたとえバリュー株だとしても、当ファンドにとって投資優先順位は低くなります。
半導体関連株では、例えば製造装置メーカーは日本のモノづくりの競争優位性が発揮される分野ですが、当ファンドが投資を行っていない理由として、歴史上「シリコンサイクル」と言われる激しい需要増減が伴う業界であるため、将来予測が難しいことが挙げられます。(後略)
例えば、過去 12か月で当ファンドはいくつか銘柄への新規投資を実行しています。最近、組入比率が大きく上昇した新規銘柄のうち一つは創業して 10 年に満たない、中規模な時価総額のインターネット企業です。本件は、当ファンドが近年注目している「無形固定資産を主軸とした競争優位性を持つビジネス」への投資と言えます。日本では事業領域を国内市場に限定している新興ネット企業が多い中、同社は創業当初から世界で使われるインターネットサービスを目指しているという点で稀有な存在であると、当ファンドは考えています。
もう一つの新規投資銘柄は創業 100 年の歴史を超える老舗で、時価総額も非常に大きい大企業です。(中略)同社の場合、かつて低収益に喘いでいたところ、大規模なリストラによって平均的なレベルの企業にまで収益水準が改善し 10 年以上が経ちました。今後は成長に向けてビジネス内容の変化が期待されます。その将来像は既存事業の延長線上にあり、「種蒔き」も5年ほど前から行われていることから、成功の確率は高いと読んでいます。一方、株式市場では株価が未だ低評価のままであり、投資対象として十分に魅力的と判断しています。
どちらの銘柄も、今後のマンスリーレポートで改めてご紹介する予定です。


【アジア株式投資戦略】


スパークス・新・国際優良日本アジア株ファンド(愛称:日本アジア厳選投資)

当ファンドでは、先ほどの厳選投資のコメントに加え、アジア企業で新規投資している「ICICI Lombard General Insurance」についてコメントしています。

同社は 2001 年に設立されたインドの民間損保会社最大手で自動車保険、医療保険、火災保険などを手掛けています。 
インドには 30 社以上の民間損保会社が存在しますが、ICICI Lombard General Insurance は最古参かつ最大手企業です。保険契約者に対する迅速なサービスや、テクノロジーを活用した保険業務の自動化・効率化など先進的な取り組みで高評価を得ています。
(中略)一般的に損保業界では、保険引受収益と運用収益両方において利益を出すのが理想とされていますが、同社の場合は保険引受収益が一貫して損益トントンであり、ほぼ全ての利益は運用収益から生み出されているのが特徴です。(中略)事業規模や知名度で圧倒的に優位な同社の引受収益が損益トントンであるということは、同業の競合企業が保険引受事業で利益を生み出そうとしても非常に困難になるからです。これが競合企業の躍進を阻む機能を果たしているのです。言い換えれば、同社は保険引受事業の収益性をあえて犠牲にすることで、参入障壁を築いていると言えます。


スパークス・新・国際優良アジア株ファンド(愛称:アジア厳選投資)

当ファンドでは、当月パフォーマンスに貢献した、中国の生物製剤の医薬品・農薬品の受託開発製造事業者(CDMO)「Wuxi Biologics」と、アジア地域のeコマース(電子商取引)セクターについてコメントしています。

同社はヘルスケアセクターに分類されていますが、ビジネスモデルは従来型の製薬会社と大きく異なります。実は事業内容が世界で同社に最も近い競合先であるスイスのLonza社を担当するアナリストの中には、化学品セクターの担当者までいるほどです。受託開発製造事業(CDMO)は資本市場において、新しいカテゴリーであると言えるでしょう。ヘルスケアセクター担当アナリストの多くは、受託開発製造事業をあたかも従来の製薬事業であるかのような方法で分析しており、パイプライン薬の価値をいかにして算出するかという点に目を向けがちでした。しかし当ファンドは、同社のようなCDMOを見極める鍵は、製造の規模、技術力、サービスプロバイダーとしての実績と世評であることに気付きました。
当ファンドは同社の魅力を他の市場関係者より早くから認識していたため、同社の組み入れによって既に十分なリターンを上げています。
新型コロナウイルスの感染再拡大は、インドネシア、マレーシア、タイといった国の経済に引き続き影を落としています。これらの国では新型コロナワクチンの接種が遅々として進まず、経済活動の再開が遅れています。ただし他の国々と同様、ASEAN諸国でも過去12ヵ月間でeコマース(電子商取引)セクターが順調に成長しています。当ファンドは同セクターの関連企業を投資先候補として注視しています。
中国では、いかなる企業であれ、インターネット関連企業が国民に大きな影響力をおよぼすことは許さないという姿勢を政府が打ち出しており、インターネットセクターの規制リスクには低下の兆しが見られません。これは当ファンドが組み入れている同セクターの銘柄にとって短期的な逆風になり得ます。
一方、グレーターベイエリア(大湾区)の投資家にクロスボーダー取引を認める「跨境理財通」構想は当ファンドにとって好材料と考えられ、その進展を注視しています。同構想は資本市場のさらなる自由化に向けた画期的な一歩で、長期的に同地域の金融サービス業界に恩恵をもたらすと考えられます。


【韓国株式投資戦略】

スパークス・韓国株ファンド(愛称:韓国厳選投資)

当月は、当ファンド組入上位銘柄の、半導体プロセス材料として用いられるシリコンカーバイドリングメーカー「Tokai Carbon Korea」と、英国で開催された先進7ヵ国首脳会議(G7)について当ファンドの考え方を交えながら取り上げています。

Tokai Carbon Koreaは競合他社に対して同社の知的財産権侵害に関する訴訟を提起し、株価が4月後半の高値から5月半ばには約30%下落し、その後は横ばいで推移していましたが、当月は上昇に転じ月末には下落分の半分程度まで株価が回復しました。判決の発表直後に株価が約14%下落したことから、市場は同社が敗訴したと見做したことになります。
そこで当ファンドは同社と相手企業を訪問取材し、特許問題を詳細に再検証した結果、競合企業が参入した市場はSamsung Electronics(テクノロジー・ハードウェアおよび機器、当ファンド組入銘柄)のアフターマーケット(製品を販売後の使用に付随するサービス需要をビジネス化した市場)に限られており、ビフォアマーケット(製品販売前の需要をビジネス化した市場)への事業拡大は容易ではないという当ファンドの見解を再確認しました。
(中略)米中両国は韓国にとって二大輸出相手国であることから、政治的に中立の立場を取る韓国政府の姿勢は韓国企業にとって好機にも危機にもなり得ます。ただし、米国の同盟国として、製造業が競争力を持つ韓国には、脅威を克服しつつ、新市場の開拓を実現できる可能性もあると、当ファンドは考えます。


【日本株式サステナブル投資戦略】


スパークス・ジャパン・オープン

当月は組み入れ企業である、廃棄物の収集運搬・中間処理・最終処分という全てのプロセスについて一貫型のソリューションを提供している「ミダック」との対話事例を取り上げ、同社のサステナビリティ活動についてご紹介しています。

ミダックは、経営理念で自社を「かけがえのない地球を次の世代に美しく渡すために、その前線を担う環境創造集団」と位置付けています。 
これは廃棄物処理業界の社会的地位の向上を牽引する意思を示しており、その実現のために高い環境保全やコンプライアンスの意識を持っています。 そして現在、更なる高みを目指して新たに始まったのが、加藤社長の陣頭指揮の元で行われている SDGs を切り口とした従業員全員参加型の取り組みです。一つは独自開発の社内ポイント制度「MSLP(Midac Sustainable Life Point)」。 もう一つは全従業員が自らの業務を SDGs の 169 分類と紐づけるという取り組みです。
(中略)ミダックのように自ら進んで企業活動の質を高める活動をしている企業に対して、当ファンドはフィードバックを伝えることを意識して取り組んでいます。 特に新しく独自の活動に取り組んでいる場合、先行事例や学術研究などの拠り所がない中で物事を進めていく必要があるため、活動が合理的かどうかを判断することが難しいでしょうから、外部からのフィードバックは判断の参考情報を提供することになるため、有意義だと考えています。 
また、どんなに合理的と思われる活動だとしても、組織の中には新しい活動に対して消極的な人も一定数存在するのが通常です。その場合、外部からポジティブなフィードバックを伝えることが、社内検討の場面で活動推進のサポート材料となる可能性があると考えています。
ミダックに対しては加藤社長との面談の際に、更なる発展への期待を込めて、サステナビリティ活動に従業員や地域の参加を促進する活動が評価できるというコメントを伝えました。

こちらのファンドも同じ内容を取り上げております。
スパークス・アクティブ・ジャパン↓


【日本株式中小型投資戦略】

スパークス・M&S・ジャパン・ファンド(愛称:華咲く中小型)

当月は、住宅不動産業界について着目し、不動産関連市場におけるサービス提供事業者についてコメントしています。

コロナ禍を契機とした非対面コミュニケーションの普及は、従来、対面が常識とされてきた業界へも大きな影響を及ぼすこととなりました。新型コロナワクチン接種の進展により社会活動の正常化が近づく中、当ファンドはオンラインの活用により従来のビジネスモデルを一段と拡張していくことの期待出来る企業に注目しています。住宅不動産業界はオンラインシフトが進んでいない典型的な業界の一つです。
(中略)このような環境の中で当ファンドでは、メディア側ではなく、不動産関連市場におけるサービス提供事業者に注目しています。これら企業は旧来型の労働集約的な企業と位置付けられがちですが、オンライン利用の進展による垂直統合化や、事業領域の拡張が着実に進んでいると考えます。
中でも保険や住宅ローンといったサービスは、その事業規模が膨大である一方、人口減少の中で市場自体の成長は見込めないばかりか、商品の複雑さや規制、商習慣などが絡み合う業界であり、新規参入が起こりにくいという特徴もあります。
サービス提供事業者自身がデジタルマーケティングを行うメリットは数多くあります。保険や住宅ローン市場では、大手企業に対する中堅企業の差別化が難しいという印象を持ちますが、大手企業の多くはマーケティング機能をアウトソースしており、自社内にノウハウを蓄積できている企業は限られます。不動産業界同様に「情報ギャップの大きい産業」でもあるため、積極的な情報開示によるプレゼンスの向上は十分に可能であると考えます。


スパークス・ジャパン・スモール・キャップ・ファンド(愛称:ライジング・サン)


当月は、今後の運用方針と共に、新規組入企業の「プラスアルファ・コンサルティング」についてご紹介しています。

同社は、ビッグデータ解析を主とした様々な「見える化」ソリューションを提供する企業で、6月に東証マザーズ市場に上場しました。
従来、ビッグデータの活用は販売促進や商品開発などマーケティング領域で活発であり、同社が提供する初期のサービスも同様でした。しかし、人事領域においてデータ分析が用いられていないことに気付き同社が事業化したのが、現在の成長を牽引する「タレントパレット」というサービスです。
(中略)当ファンドが着目した点は、三つあります。
一つ目は、同社の高い収益性であり営業利益率は約30%に達しています。その要因は、サービス単価の高さと低い解約率が挙げられ、導入支援を行う自前のコンサルティングチームを有していることで実現できていると考えます。
二つ目は、人事領域のデジタル化、いわゆる「HRテック」における同社のポジショニングです。「HRテック」を標榜する企業は少なくありませんが、多くは特定分野における管理や業務効率化のツールです。しかし、同社のサービスは人材の「見える化」による人材活用を目的としており、応用できる範囲に伸びしろがあると考えられる点が魅力です。
三つ目は、同社のサービスがアフターコロナ時代に必要とされると考えるためです。新型コロナワクチン接種が始まり企業活動に落ち着きが戻りつつある一方、テレワークの推進によって社員の活動が見えづらくなっています。今後、以前のように社員全員がオフィスに集まる形態に戻らない可能性もあります。この状況で人材活用を積極化しようとする場合、まず行われることは人材の「見える化」ではないかと当ファンドは考えます。


スパークス・少数精鋭・日本株ファンド

当月は、2018年8月より投資しているベンチャーキャピタル大手、「ジャフコ」についてご紹介しています。

VC事業の単年度の業績予想は難しいですが、大枠での方向性は予想できます。2018年、ジャフコの投資先企業の新規上場は少なかったとはいえ、過去を見れば、この状況が続くとは思えませんでした。また2019年に、新規VCファンドを立ち上げることも想定できたため、ジャフコのVC事業が底を打つ可能性は高いと判断できました。独立系VCとなったことは、規模拡大で野村證券㈱のサポートが受けられない一方、VCファンドの受益者の利益だけを考えた経営ができるメリットの方が大きいと、当ファンドは判断しました。
投資開始以降、ジャフコの株価は順調に上昇してきました。VC事業の業績は底打ちを見せましたが、最も大きな変化は、㈱野村総合研究所の株の一部を売却し、その対価で自社株買いを行ったことです。この資本効率の改善施策は、2018年の投資開始以来、当ファンドがジャフコ経営陣に求めてきた事と一致します。
当ファンドでは、ジャフコのVC事業の先行きを楽観視していますが、同時にジャフコ本来の企業価値が株価に織り込まれ始めていると判断し、投資比率を引き下げました。今後も慎重に投資判断してまいります。


スパークス・プレミアム・日本超小型株式ファンド(愛称:価値発掘)

当月のプラス貢献企業とマイナス影響企業、今後の運用方針についてコメントしています。

運用方針としましては、個別企業のパフォーマンス格差が高まっており、引き続き巣ごもり需要などの恩恵で株価が上昇した銘柄の売却を検討してまいります。一方で、経済活動の正常化やカーボンニュートラルの社会実現に向けた変化が拡大すると考えており、その環境下で大きく利益が増加すると判断した銘柄への新規投資と、既保有銘柄の投資比率を高めてまいります。


【日本株式ロング・ショート戦略】


スパークス・日本株・ロング・ショート・ファンド(愛称:ベスト・アルファ)

当月は、新規組入企業の「プラスアルファ・コンサルティング」のほか、ショート投資銘柄についてコメントしています。

ショート投資では自動車部品メーカーA社、スポーツ用品メーカーB社に新たにショート投資を開始しました。
自動車部品メーカーA社は、電気自動車関連に対する売上成長を期待されていますが、電気自動車関連以外の事業が縮小するマイナス影響の大きさを考慮すると中長期的な事業規模の先細りは避けられないと判断しました。
スポーツ用品メーカーB社は、アパレル商品を提供するスポーツ選手の活躍が株価の評価を押し上げていますが、売上増への貢献は大きくないと考え、海外事業の展開力の小ささを勘案すると現状の株価水準は同社の企業価値を大きく上回ると判断し、ショート投資を行っています。

こちらのファンドも同じ内容を取り上げております。
スパークス・日本株・L&S↓


【日本株式価値創造・対話型戦略】

スパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンド(愛称:対話の力)

当月は、デジタルペン・入力デバイスメーカーの「ワコム」についての投資見解及び対話内容を紹介しています。

当ファンドが6月に実施した井出社長との面談では、ビジネス、教育、アートなど、さまざまな分野で個が発信するクリエーション、個のモノをつくる力を支える会社としてのワコムの将来ビジョンが明確に説明されました。ワコムのホームページで引用されている井出社長のコメントには、「ワコムの製品は、目を見張るようなデジタル作品を生み出すプロのデザイナーやアーティストのためだけに作られているのではありません。誰もが内に秘めている創造力を日常生活のなかで、またビジネスシーンで発揮するお手伝いをすることも、当社ソリューションの使命なのです」とあります。
当ファンドでは、ワコム製品・技術の価値が、その利便性だけにあるとは考えていません。世界中の大人と子供が、ビジネスや教育の現場で当たり前のようにワコム製品を使うようになれば、あらゆる個の創造性が大いに発揮される豊かな社会を形づくることに、同社が貢献できるものと期待しています。


以上、2021年6月の月次レポートをまとめてみました。どれも盛りだくさんの内容となっておりますので、是非リンクの各投資信託のページへ飛んでいただき、全文をご覧ください!

※こちらは2021年6月末のマンスリーレポートをもとに再編集しております。内容はチームメンバーの見解を元に書いているため、スパークス全体の見解とは異なることがありますのでご了承ください。また、記事にある企業名等の内容は参考情報であり、特定の有価証券等の取引を勧誘してはいない点もご理解いただけますよう、お願いいたします。

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