
いま投資にできること - スパークス日本株式サステナブル投資戦略チームより
みなさん、こんにちは。スパークス日本株式サステナブル投資戦略チームです。
2020年も残すところわずかとなりました。今年はCOVID-19の感染が世界中に拡散し、人々の行動を大きく変えた一年でした。今までの日常がくつがえったことで、多くの人があらためて自分を取り巻く世の中について見つめ直した年だったように思われます。
そのような環境下、スパークスのサステナブル投資チームは、従来にも増して企業との対話を重視して活動を行いました。
我々の主な対話先である上場企業はCOVID-19の感染拡大をおさえつつ、経済活動をつづけて雇用を守るという難しい課題に直面しています。微妙なバランスをとるためには多面的な見方が必要であるため、それぞれの人がそれぞれの立場で、例えば我々が株式投資家として、企業と向き合って話すことはそれ自体がとても意味のあることだと考えています。
我々は対話をより有意義な場にするために、「IRミーティングを建設的な対話の場にする」という姿勢を明確に持ち、企業の経営課題について、ともに考えることに注力してまいりました。このような我々の姿勢は投資先および投資候補先からのポジティブな評価につながり、当チームと対話をしたいという要請を頻繁にいただくようになりました。特に今年はESGについての戦略策定や開示手法を議題にしたミーティングの依頼が大きく増えました。
また、対話を通じて投資先企業を支援するという我々の活動に対して、欧米を中心とした投資家からの支持が増えはじめています。
多くの支持者がいることは我々の活動に力を与えてくれます。例えば、お預かりする資産が増加すると株式市場における存在感が高まり、投資先企業が我々との対話を重要視するようになることから、対話の効果がさらに高まることが期待されます。このような良い循環が生まれ始めたことで、混乱する状況においても明るい展望を描くことができるようになり、チームの将来的な発展について自信が深まりました。
そして、2020年に加速しはじめた日本企業のESG対応は、2021年にはさらに速度を増し、価値創造のための必要条件として多くの企業の経営戦略に組み込まれるようになると予想されます。
COVID-19感染が収束しないなかでの事業活動においては、公衆衛生への貢献、雇用安定性の確保、さらにはサプライチェーンにおける人権への配慮などを適切に行うことが企業ブランドの毀損リスクを低減することにつながります。また、菅政権による温暖化ガス排出の実質ゼロ目標に呼応する形で、各企業が脱炭素に向けた取り組みを推進することが予想されますが、そこで打たれる施策はリスク回避策であると同時に、新たな事業機会にもなりえます。
ESGについての議論が活発になされるようになってきたことは喜ばしいことですが、一方でその議論がときとして環境や社会と経済活動のどちらを重視するのか、という二項対立を引き起こす場合があります。そして二項対立のまま議論を進めると解決に向かうどころか、対立を生み出すことにつながりかねません。
実際には片方が正しいと言い切れるものではないことから、ESGについて考えるときには、どちらか一つを選ぶのではなく、両立する方法を考えるという姿勢がとても重要になってくるのだと思われます。
多様なステークホルダーの最適なバランスをとる方法に、唯一絶対の答えが存在するわけではないでしょう。であるからこそ、我々は日々学び、考え、話し合い、ときには意見をぶつけ合って、答えを探していく「過程」を大切にする必要があると考えます。
2021年はまた新たな気持ちで、心を開き、境界線を引かず、異なる考え方に寛容であり続けることで、新たな時代に移行する過程に積極的に関与してまいる所存です。
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今後ともご支援いただけますよう、よろしくお願いいたします。
スパークス日本株式サステナブル投資戦略チーム