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Letters From SPARX ~2021年3月 月報まとめ~

こんにちは!スパークス・アセット・マネジメント、公式note運営チームです。

スパークスでは各投資信託(ファンド)の動き、今後の方針等を説明するレポートを毎月出しております。(月次レポート)
株式市場の振り返り、今後の見通し、注目する業界、企業・・・日々運用調査を行っているファンドマネジャーによるレポートは、ただファンドの情報を得るだけでなく、今後の世界がどのようになっているのか、想像するヒントになると感じます。

各ファンドの内容について概要をまとめてみましたので、興味のある内容について、ぜひリンク先でご覧になってみてください。

【日本株式長期厳選投資戦略】

スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)

当ファンドが長期的な利益成長を見込んで投資を行うグロース株(成長企業)の対極であるバリュー株のパフォーマンスが改善傾向にある中、ポートフォリオの変更を行わない理由とともに、日本国内企業の「新たなスター」についてコメントしています。

PBR(株価純資産倍率)が1倍割れの企業は多くの場合、資本収益性が資本コストを下回っている状態にあります。例えば、資本コスト8%に対しROE(株主資本利益率)5%のビジネスは理論上、PBRは1倍割れが適正な株価水準です。このような企業は、仮にリストラなどで一時的に収益が大幅に回復したとしても、抜本的にビジネス構造が変わらない限り、資本収益性が低いままのビジネスです。従って、PBR1倍水準まで株価が回復したとしても、そこから先の上昇については低ROEを反映した低い株式リターンしか享受できないことになります。
ファンド運用で継続的に市場平均を上回る運用成績を達成するには、上昇した株を売却し、新たな割安株に乗り換える必要がでてきます。これは非常に手間が掛かる上、売買コストも嵩む運用戦略といえます。また銘柄入れ替え候補としての割安株がいつも見つかるとは限りません。当ファンドはこれを債券投資で期限前償還を受けた際の再投資リスク(これまでの利回りが保証されないリスク)に似たものだと考えています。これに対し、高い参入障壁に守られ、高ROEを長期にわたって実現できる企業の株式を購入した場合、競争優位性が維持されている限り、持続的な株価上昇を享受することが期待できるのです。
当ファンドは、魅力的と考えられるビジネスを手掛ける企業の株式をできるだけ長く保有し続けることで資産の拡大を目指していますが、その過程で当ファンド組入銘柄の中から新たな国内最大の時価総額企業が出て来ることも期待しています。過去20年間、日本で最も時価総額の大きい企業は今日に至るまでトヨタ自動車㈱(2021年3月末現在の時価総額約27兆円)で、ずっと変わっていません。一方、当ファンド組入銘柄の日本電産、ソニー、キーエンス、ソフトバンクグループ、リクルートホールディングスなどは5年前まではトヨタ自動車㈱よりも遥かに小さい規模でしたが、かなりのペースで追い上げています(ソフトバンクグループ約20兆円、ソニー約15兆円、キーエンス約12兆円、リクルートホールディングス約9兆円、日本電産約8兆円、2021年3月末現在でいずれも東証一部上場銘柄の時価総額上位10位以内にランクイン)。

【アジア株式投資戦略】

スパークス・新・国際優良日本アジア株ファンド(愛称:日本アジア厳選投資)

当ファンドでは、上記(厳選投資)の日本国内企業の「新たなスター」の話に加え、中国におけるインターネット企業に対する規制強化の動きについてコメントしています。

ところが、これらのインターネット企業も少しずつ成熟段階に入ってきました。人々が受ける恩恵も以前よりは顕著なものではなくなりつつあり、一部では寡占化が進むことによる弊害(不当な価格吊り上げや、同業者による競合企業サービスの締め出しなど)も出てきています。中国政府は、この点を是正するために規制強化を行っていると見るのが自然です。逆にいうと、社会全体に対してテクノロジーを通じて便益をもたらす限り、これらの企業は現状のビジネスを通じてまだ成長が続けられると考えられます。
(中略)中国の現状は欧米諸国や日本の資本主義・民主主義とは異なりますが、中国政府の国の運営の仕方は「一つの在り方」だと当ファンドは思っています。このマンスリーレポートでは共産主義に関する肯定や否定などには触れませんが、一つ言えることは、経済面では中国政府のこれまでの施策は過去30年間で人々に多くの恩恵をもたらし、大成功を収めたということです。世界銀行のデータによると、1981年以降、中国では生活水準が向上し、じつに8.5億人の国民が貧困を脱しています。一方で民主主義を掲げるインドの経済発展が遅れていることからも分かる通り、一党政治体制は負の側面ばかりではないとも言えます。

こちらのファンドも同じ内容を取り上げております。(アジア分)
スパークス・新・国際優良アジア株ファンド(愛称:アジア厳選投資)↓

【韓国株式投資戦略】

スパークス・韓国株ファンド(愛称:韓国厳選投資)

当月は、組み入れ銘柄紹介のほか、Intel社(米国)のファウンドリ事業参入とSamsung Electronicsへの影響についてコメントしています。

ゲルシンガー氏はイベントの中で、「供給量全体の80%をアジアが握っていることは、単純に言えば世界にとって理想的なことではない」との趣旨の発言をしました。また、「欧米諸国は支配力を取り戻さなければならない」との趣旨も主張しました。Samsung Electronicsの株主である当ファンドにとっては好ましくないニュースになる可能性もありますが、米国とIntel社にとっては最適な決断だと言えます。Intel社のファウンドリ事業進出によって競争は激化し、同業界のリーダーであるTSMC社とSamsung Electronicsにとっては逆風となるでしょう。ただし、別の見方をすれば、半導体の需要は着実に伸びており、Samsung Electronicsの半導体およびモバイル部門の好調さを勘案すると、Samsung Electronicsの企業価値は未だ過小評価されていると言えます。

【日本株式サステナブル投資戦略】

スパークス・ジャパン・オープン

当月は、組み入れ銘柄「キュービーネットホールディングス」との対話事例を取り上げ、企業のESGへの取り組みをどのように評価しているか、また、ESGについての対話内容を記しています。

直近のミーティングにおいて当ファンドは温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みを議題に対話を行いました。日本政府のカーボンニュートラル宣言を受けて、すべての企業が温室効果ガス排出の削減に取り組むべきと考えているからです。 同社は店舗モデルそのものが省エネであり、そこで使う電力は可能な限り再生エネルギー由来を使う方針です。当ファンドはそのような同社の姿勢に対しポジティブなフィードバックをして、今後もさらに進めて欲しいという要望を伝えました。 なお、店舗によっては電力契約が入居している建物のオーナーによってなされることから、再生エネルギー由来の電力を契約したくても出来ないという話もあり、新たな課題を共有するというところで対話を終えています。今後の同社との対話においては、入居している不動産会社に再生エネルギーの利用を促すことや、立地選定の基準に環境対応を盛り込むことなどを期待する事項として伝えたいと考えています。


こちらのファンドも同じ内容を取り上げております。
スパークス・アクティブ・ジャパン↓

【日本株式中小型投資戦略】

スパークス・M&S・ジャパン・ファンド(愛称:華咲く中小型)

 
当月は、製造業のパラダイムシフト(その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や価値観などが劇的に変化すること)についてコメントしています。

例えば、製造業における典型的なパラダイムシフトは、垂直統合型モデルから、水平分業型モデルへの転換です。かつて日系電機メーカー各社は垂直統合型モデルにより家電機器で世界市場を席巻しましたが、製品の陳腐化や中国など価格競争力の高いプレーヤーの出現により市場シェアは低下し、現状多くの製品は水平分業型の事業形態を採っています。
特に近年では、製品の付加価値に占めるソフトウェア比率の高まりにより、ハードウェアの汎用化は一段と進んでいるように見えます。こういった製造業の構造的な水平分業化の進展は続くのでしょうか。そこから投資家はどのような投資機会を見出せるのでしょうか。当月は、①今後水平分業化が進むもの、②垂直統合型への揺り戻しが起こるもの、の二つの視点で、当ファンドが考える投資機会についてご説明します。

スパークス・ジャパン・スモール・キャップ・ファンド(愛称:ライジング・サン)

当月は、今後の運用方針と共に、銘柄紹介では新規投資した「トヨタ紡織」について取り上げています。

同社は、トヨタ系のシートなどを手掛ける内装システムサプライヤー大手で、トヨタ自動車㈱とその関連企業からの売上高が同社売上高の9割強と高いのが特徴です。
(中略)また中長期視点でも、部品サプライヤーの中での同社のポジショニングは良好と考えます。自動運転やEV(Electric Vehicle、電気自動車)化が進展すると自動車部品の一部は使用されなくなるものも多くある中、内装システムはマイナス要素がなく、むしろ自動運転下では車内空間での快適性がより重視されるため、長期的に付加価値が上昇する可能性もあると予想されるためです。

スパークス・少数精鋭・日本株ファンド

 当月は、株式市場が本来持つ「価格発見機能」が働いていないのではという考えについて、バッグ(かばん)を例に説明しています。

世界的に有名なエルメスのバーキンというかばんが存在します。インターネットで調べると、安くても100万円以上、高ければ1000万円近くするようです。バッグとしては破格の値段のバーキンを買う理由は沢山あります。世界的に知られたブランドであり、その中でも最高のデザインと言われている、最高の品質であり、希少価値も高く、所有そのものがステータスであり、誰もが認めるバッグであり「選んだこと、買ったことが失敗」と言われない。事実、過去20年、バーキンは価格が上がり続けています。多くの買い手はバーキンの価値を認め、高い価格に納得して買っていると思われますが、一部の買い手は、自身が認める価値ではなく、他人が認める価値が更に上がることを期待して買っていると思われます。英国の経済学者ケインズが言う「美人投票」です。「他者の好みに最もよく合うバッグを選ぶ」という行動です。
一方、当ファンドのアプローチは、「かばん職人がこだわりをもって作った、考えうる最高の水準にある、でもまだ有名ではなく、安い価格で売られているバッグを探すこと」です。本当は良いものが市場に埋もれており、安く売られている、その価値を発見し、他者がその価値を認めるまで保有することを狙っています。

スパークス・プレミアム・日本超小型株式ファンド(愛称:価値発掘)

 当月のプラス貢献銘柄とマイナス影響銘柄、今後の運用方針についてコメントしています。

日本銀行の ETF(上場投資信託)の購入政策の変化(原則年 6 兆円の購入目安の削除、株高局面の購入見送り、購入対象は TOPIX 連動型のみとする)は大型株にはリスクですが、当ファンドの投資対象である超小型株への影響は小さいと考えます。
運用方針としては、引き続き昨年大きく上昇した「コロナ禍」の恩恵銘柄の売却を進めるとともに、経済の正常化に伴い大きく収益が回復すると考えられる銘柄への投資比率を高めてまいります。

【日本株式ロング・ショート戦略】

スパークス・日本株・ロング・ショート・ファンド(愛称:ベスト・アルファ)

 
当月は組入銘柄の世界シェアトップ工作機械メーカー「DMG森精機」についてご紹介しています。

当ファンドは、次の三点に注目して同社を評価しています。
一点目は経営力です。100社を超える企業が名を連ね大企業化に遅れる日本の工作機械業界で、1999年の社長就任以降に複数の日本の工作機械メーカーを傘下に加え、さらにDMG社と完全に経営統合するなど、世界規模での業界再編を先導する社長の森雅彦氏のビジョンと行動力を高く評価しています。
二点目は次世代技術への取り組みです。欧州地域をはじめ世界の加工技術トレンドをいち早く取り入れ、複合5軸加工機を他社に先駆け展開してきたことや、世界トップクラスの企業規模を活かしてIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)に代表されるデジタル技術を積極的に取り入れたことで、将来的な同社の製品力は、技術者などの経営資源に限りがある中堅以下の工作機械メーカーと比較にならないほど技術格差が広がると考えています。
三点目は需要地域、顧客属性の分散による業績安定性の改善です。日本市場の売上構成比が高い「森精機」に、欧州に地盤を持つDMG社が加わったことで、地域別売上構成の平準化が進みました。同時に顧客の産業特性や顧客の企業規模の面でも分散が進んだことで、工作機械産業に特有の需要の変動が緩和されつつあります。長期的なビジョンで設備投資や営業投資を行えることは、同業他社と比べ大きな優位点と考えます。
これら三点から、当ファンドは「変動の大きな工作機械業界の中で着実に成長を積み上げていくことが期待できる企業」として長期的な観点で、同社に投資しています。


こちらのファンドも同じ内容を取り上げております。
スパークス・日本株・L&S↓

【日本株式価値創造・対話型戦略】

スパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンド(愛称:対話の力)

 当月は、組み入れ銘柄の「高品質として認知された筆記用具メーカーのA社」についての投資見解及び対話内容を紹介しています。

当ファンドでは、当月A社のIR担当者と面談を行い、上述の懸念点や考え方を改めて伝えました。今回の対話では、A社の経営方針やIR体制の面で大きな進展が確認できましたのでご紹介します。具体的には、同社IR担当者から、今期より以下の複数の点で当ファンドとの対話内容を反映しており、今後もその取り組みを強化していくという方針であるとの発言がありました。
①海外展開のさらなる積極化に関して
北米地域における売上伸長を実現すべく、A社の主力製品の生産能力拡充を積極的に検討している。
②潤沢なネットキャッシュと金庫株に関して
資金の使途として、配当や自社株買いといった株主還元に関しても検討している。
③IR体制に関して
従来作成していなかった決算説明資料を、投資家との個別ミーティング用に作成し、開示することを開始。それにより、地域別・製品別の売上動向に関する開示も強化。当該資料を個別ミーティングで投資家との議論に用い、そのフィードバックを反映した上で、本年度中にホームページ等での一般公開を予定している。また、従来日本語でしか対応していなかった個別のIRミーティングを英語でも開始し、継続的に海外投資家への接点を強化していく方針。
また、A社からは、当ファンドとの建設的な議論は同社にとって非常に有益であり、今後も同社の企業価値向上のための方法を当ファンドと共に考えていきたいというコメントをいただきました。


以上、2021年3月の月次レポートをまとめてみました。どれも盛りだくさんの内容となっておりますので、是非リンクの各投資信託のページへ飛んでいただき、全文をご覧ください!

※こちらは2021年3月末のマンスリーレポートをもとに再編集しております。内容はチームメンバーの見解を元に書いているため、スパークス全体の見解とは異なることがありますのでご了承ください。また、記事にある企業名等の内容は参考情報であり、特定の有価証券等の取引を勧誘してはいない点もご理解いただけますよう、お願いいたします。

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