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もっといい投資は未来を創生する~イノベーションを支えてくださる皆様へ~

みなさん、こんにちは。スパークス・アセット・マネジメント、公式note運営チームの田中です。

スパークスでは上場企業への投資だけでなく、最新の技術・ビジネスモデルを有する国内外の未公開ベンチャー企業に投資する「未来創生ファンド」を運用しております。
2015年11月に1号ファンド、2018年7月には2号ファンドを立ち上げ、2号ファンドは2021年3月末時点で計69件、469億円の投資を実行。AUM(運用資産残高)は726億円となっています。

今回はこの未来創生ファンドが誕生した経緯と今後について、弊社社長の阿部と運用担当の出路にインタビュー形式で話を聞いてみたいと思います。

田中: 阿部さん、出路さん、よろしくお願いいたします。   

阿部・出路:よろしくお願いいたします。

田中:未来創生ファンドは今から6年前、2015年11月4日に誕生しました。それに先立ち、スパークスは2015年7月22日に、リードインベスターであるトヨタ自動車様、三井住友銀行様と共に、「新ファンド設立に向けた連携で合意 ~未来社会を開拓する技術への投資の検討を開始~」という内容で共同のプレスリリースを発表しました。プレスリリースでは、以下のような内容が記されていました。

【設立趣旨】
・本ファンドは、未来社会を開拓する技術開発を手掛ける企業・プロジェクトを対象に、機動的に資金を投入していく事で、イノベーションの促進と、それに基づく次世代社会の実現を目指していくもの。
・具体的な技術領域は「知能化技術」、「ロボティクス」、「水素社会実現に資する技術」の3分野。
【各社の役割】
・トヨタ自動車は、新技術や市場動向等の広範な情報をタイムリーに入手し、事業戦略に活用するとともに、革新技術を有する企業の成長・事業化を支援することで新たな価値の普及に貢献する。
・三井住友銀行は、次世代技術の育成という社会的意義の高いファンドを通じて、経済成長のけん引役としての役割を果たし、将来の有望企業の発掘と育成に努める。
・スパークスは、次世代の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓する。

田中:スタートして、あっという間に6年が経ちましたね。

運用担当:出路

出路:そうですね。スタートして6年が経過していてもなお、基本的な精神や役割は今も変わっておりません。
また、トヨタ様、三井住友銀行様の3社で始まった未来創生ファンドですが、趣旨に賛同していただいた事業会社様、投資家様も増え、今では30社超の投資家様が参画してくださっています。

田中:阿部さん、当時はどういったことをお考えでしたか?

阿部: 2013年、ちょうどアベノミクスで日本株が上昇していた頃、私は頻繁に海外出張に行っておりまして、AI,ロボティクス、IOT,などのキーワードをよく耳にしました。
私は何かに気が付いて反応する動き方が多いのですが、その時もこの新しいテクノロジーで、新しいことが始まると思ったのが全ての始まりですね。AIとかロボットのこと、自分なりに考えていて、大量のデータにアクセスして、みんなでシェアして、それによって制御された機械が人間を助ける。これは自動車だと思ったのです。日本は車がロボットの代名詞ですよね。

田中:なるほど。未来創生ファンドが誕生した2015年前後の時代背景も追い風だったのでしょうか?

出路:その当時は「CASE」という言葉が世間的に一般化される少し前、しかし自動車産業の変革の入り口という時代でした。その当時に頻繁にメディアを賑わせていたのは以下のようなキーワードや出来事でしたね。

・Connected Car
・高度運転支援システム
・自動運転
・シェアリングサービスの台頭
・ディープラーニング
・水素社会元年(2015年;諸説あり)

出路:そのような大変革期を迎え、未来創生ファンドの最大の投資家でもあるトヨタ様でも2015年前後では、以下のような大きな動きがありました。

・世界初の量産型燃料電池自動車「MIRAI」発売(2014年12月)
・中長期保有を目的とする株主づくり、「もっといいクルマづくり」のための革新技術を生み続けるための「AA種類株式の発行」(2015年7月;5,000億円)
・TOYOTA Research Instituteを米国シリコンバレーに創設(2015年11月に発表、2016年1月に設立)

出路:このような環境下、ファンドの設立のちょうど1年前に、阿部さんがトヨタ様へ、「新しい変革の時代に、世界中の先端技術に関する情報を集め、さらに、その技術が孵化することを支援するためにファンドの力を活用してみては。」という提案を行いました。
その提案がトヨタ様のお耳に届いたことがきっかけとなり、同様に三井住友銀行様からもご賛同を頂いたことがこのファンドのスタートです。

弊社社長:阿部修平

阿部:豊田社長はあの時、すでに今の「Woven City」につながることを発想されていたのだと思います。
ハードとソフトが繫がる車が、自動運転を含め制御される時代がくる。100年に一度の大きな時代の変革が自動車の、ハードの世界にやってくると思っていらっしゃった。その頃、それに対してやれることはなんでもやってみようという気持ちで色々なイニシアティブもとられていた。
私が提案した、ファンドという形でこれまでのトヨタと違った視点で見ていく、小さなセンサーみたいな役割をファンドでやっていこうということもその1つです。トヨタ様はファンドに投資する会社ではありませんでしたが、豊田社長のご英断あってスタートしました。
当時、同じくロボティクスの話をしていた三井住友銀行様にもご賛同いただき、ファンドが始まりました。

出路:当時、どのようなファンドを目指すべきか、というテーマで議論を重ねました。
結果、「世界最大の自動車会社であるトヨタ自動車をはじめとしたファンドの参加者の皆様と力を合わせ、将来を見越して豊かな生活、モビリティの未来を牽引するテクノロジーと起業家を世界中から発掘し、起業家と企業を物心両面で支援をしていく」という理念に到りました。

田中: まったくのゼロから新しいことが始まっていますよね。体制作りについてお聞かせください。

阿部:「やったことがないのになぜできるんですか。」と言われたこともありました。しかし、物事にはなんでもはじまり、最初があります。
改めて述べたいのは、最初に一緒にやってくれる方がたがいらっしゃったという、最初に本当にありがたいことがあって始まった、ということです。
トヨタ様は世界中の企業、大企業は勿論のこと、中小企業やベンチャー企業に到るまでたくさんの企業が一緒に仕事がしたいと考える、信用、尊敬されている会社です。そこにさらに、三井住友銀行様がファンドの強さを補強してくださいました。そして、私はこのファンドに全く揺るぎのない確信を持っていましたが、それを人に伝えるのは難しいことです。それを諦めることなく伝えてくれた、チームメンバーにも感謝しています。

 出路:チームの最初は3人のみ。深見さん、井上さん、私、そして途中から宮坂さんが入社して、チームにジョインしました。

 阿部:はじめは3人だけだったんです。大企業だともっと多くの人で始めるでしょうが、このファンドのすごさはテクニカルDDをトヨタ様も協力してくださるところです。
(DD: デューデリジェンス。投資対象企業の調査を行うこと)
自分たちの仕事のパートナーとして値するか、という深さで徹底的にDDに協力してくださいます。戦略としての仕組みは素晴らしく、これ以上世界にないくらいのDDの質ができていると思います。今まで何社くらいDDしている?

出路:今までに1,300社DDしています。ものすごい数です。

阿部:トヨタ様のご協力があるからこそ、これだけの数がこなせています。豊田社長のご英断があってこそ、ですね。

 出路:今でも、本ファンドの強みは各投資家の皆様が有する「尊敬力」「技術力」に支えられている点は変わりありません。今後も投資家の皆様の「尊敬力」「技術力」と連携をしながら、SPARX創業32年で培われた投資哲学、投資手法に基づいた丁寧な投資を行ってまいります。

アメリカでの視察風景


田中: 未来創生ファンドはいわゆるCVC(コーポレートベンチャーキャピタル。事業会社が自社事業のために本業と関連のある投資を行う組織)とは違うのでしょうか?

阿部: 未来創生はこれまでのVCを超えたイノベーションです。CVCではありません。CVCは自分の仕事に役立つか、という視点で投資を選びますよね。
もちろんテクニカルDDではそういう視点もありますが、最終的な投資判断をスパークスに託すのは勇気のいることです。投資をしてくれた人たちに良いリターンをお返しするということを優先させ、投資における最終決定の独立性を与えていただいた。ここがこのファンドのイノベーションです。CVCの要素も持ちながら、しっかりとファイナンシャルリターンを追求できる仕組みです。
運用におけるイノベーションはあまり話題になりませんが、スパークスの強みは投資におけるイノベーションを生み出す力だと思っています。われわれは独立系の会社ですので、イノベーションをおこす事に挑戦していかないと、この30年間生き残っていけませんでした。

 田中: スパークスはイノベーションを起こして成長してきたということですね。

 阿部: その通りです。創業当初には日本小型株のファンドを作り、ヨーロッパを2週間で60件まわって、30億円集めました。当時私のような日本人は珍しかったようで、「投資戦略を商品にしたのはお前が日本人で初めてだ」と言われたものです。ロング・ショート戦略も日本では最初に立ち上げましたが、その当時はほとんどがオフショア(海外)。オンショア(国内)の借株の仕組み作りからで、これもイノベーションの連続でした。

 田中: アイディアはどのように生まれるのでしょうか?

 阿部:振り返ってみて一つ思うのは、私は問題意識を持って一生懸命解決策を考えている時に、それに答えてくれる言葉に反応することが多い、ということです。
再生可能エネルギーの分野もそうでした。アベノミクス以前は日本株が非常に苦戦していたため、収益成長の機会という意味では日本株の魅力が大変伝わりにくく、試行錯誤していました。その時、海外に行くと、スマートグリッドという言葉を良く聞いたのです。
最初はよく意味がわかりませんでしたが、調べていくと、電気と情報が一緒に流れる、そこで日本のテクノロジーが使われる。例えばビルのエネルギー供給であれば、水のポンプ、照明、空調など、全部日本の企業が強い領域です。スマートグリッドの時代を先見して、スマートグリッドのファンドを海外の機関投資家に提案しました。それが大きくなっていったのと、3.11の原発事故が最終的な引き金となり、2012年から再生可能エネルギーによる発電事業へ参入しました。
あとは、組織としてのイノベーションもあります。我々の投資戦略ではオルタナ(オルタナティブ。「代替の」という意味で、従来ではない新しい投資手法を指す)と伝統的な投資戦略が共存していますし、VCと発電所が一緒なのもイノベーションだと思います。

2021年4月時点、日本全国で32か所の発電所を運営。(うち稼働済み27か所・設備容量約418MW)2020年は約14万世帯分の電力量に相当する41.8万MWhを生み出した。(1世帯の年間消費電力3,000kwhと仮定。)


 田中:次は未来創生3号ファンドですね。

 阿部:3号ファンドをテイクオフしたいと考えていますが、これからも「いかにイノベーションを作っていくか」がこのビジネスのチャレンジです。始まりはトヨタ様、三井住友銀行様に大変な力添えをいただきました。そして、それをやりきるチームがあることも証明してきました。現場からも、1号2号ファンドを通じて信用していただき、パートナーとして受け入れていただいたと感じています。では、これからどうするか。学んだことは膨大です。ただ、次が必要です。これまでのことを繰り返しているだけではだめです。もっといい投資をしましょう。

 

田中:阿部さん、出路さん、ありがとうございました。

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独立系投資会社スパークス・アセット・マネジメントの公式noteです。 「もっといい投資をしよう!」を合言葉に、投資への思いを語る場にしたいと思います。