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Letters From SPARX ~2022年11月 月報まとめ~

こんにちは!スパークス・アセット・マネジメント、公式note運営チームです。
当月は投資先企業のご紹介が充実しております!また、前月に引き続き中国に関する記述や、スパークス・新・国際優良日本アジア株ファンドでは当ファンドが関心を抱いているビジネスについての記述もございます。ぜひ興味のある内容について、リンク先でご覧になってみてください。


■中国の日本企業への影響 ― スパークス・ジャパン・オープン(愛称:キョウソウの架け橋)

調査活動においては世のなかの⼤きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と⽇々の活動からえられる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を⽣みだし、個別企業の調査を繰り返すことで投資アイデアに結びつけます。
具体的には、変調が⾒られる中国の状況を踏まえ⽇本企業への影響を確認していきます。改⾰開放以降、成⻑を続けてきた中国の成⻑率が鈍化し始めています。またアメリカによる半導体の輸出規制強化など、貿易摩擦の先鋭化によって中国の技術発展が鈍化する懸念も浮かび上がってきました。中国は⽇本にとって輸出⼊ともに2割以上を占める最⼤の貿易相⼿国であり、中国経済の鈍化は⽇本経済にもマイナスの影響を及ぼす可能性があります。⼀⽅で、中国の競争⼒が減退すれば、競争に晒されている⽇本にとっては相対的にポジショニングが⾼まることになり得ます。また、訪⽇外国⼈のピークは2019年の3,188万⼈でしたが、そのうち中国は959万⼈で、全体の30%を占める最⼤の国でした。現在、中国では新型コロナウイルス対策で厳しい⾏動制限が敷かれていますが、これが緩和されて中国から⽇本を訪れる観光客が増加すれば、⽇本の観光業や⼩売業への刺激策となることが期待されます。
いずれにせよ、中国の動向は⽇本にとってプラス、マイナスの両⾯で⼤きな影響を及ぼし、業界や企業によって影響の出⽅も様々であるため、個別に状況を確認していく必要があると考えています。

※そのほか、投資先の「ファーストリテイリング」についてもご紹介しています。
スパークス・ジャパン・オープン | SPARX Asset Management

こちらのファンドも同じ内容を取り上げております。
スパークス・アクティブ・ジャパン(愛称:キョウソウのバトン)↓
スパークス・アクティブ・ジャパン | SPARX Asset Management


■アジア株式市場について ― スパークス・新・国際優良アジア株ファンド(愛称:アジア厳選投資)

当⽉、アジア株式市場は中国、⾹港、台湾各市場の反発を背景に、堅調に推移しました。⽇本を除くアジア市場に使⽤される⼀般的な指数であるMSCIアジア(⽇本を除く、⽶ドル建て)指数は、18.82%上昇して⽉を終えました。中国に対する地合は前⽉の共産党⼤会閉会後に悲観的な⽅向に傾きましたが、当⽉は強気なモメンタムが戻りました。その主な要因は、(1) ゼロコロナ政策が予想以上に早期に緩和されたこと、(2) 不動産セクターに対する強⼒な政策⽀援が発表されたこと、(3) インドネシア・バリ島で開催されたG20サミットで⽶国のバイデン⼤統領と習近平国家主席が会談し、⽶中関係の緊張が多少緩和したことにあります。中国と⾹港では、ほぼ年間を通じて多額の資⾦が流出したインターネット関連銘柄も含め、⼤半のセクターが堅調に推移しました。台湾も半導体セクターを中⼼に、堅調なパフォーマンスとなりました。
また、FRB(⽶国連邦準備制度理事会)が12⽉の利上げ幅を縮⼩する姿勢を⾒せたことも、アジア市場の下⽀え要因となりました。セクター別にみると、素材セクター、消費セクター、さらに情報通信セクターのうち成⻑銘柄がとりわけ堅調でした。

※そのほか、当ファンド組入銘柄についても詳しくご紹介しています。
スパークス・新・国際優良アジア株ファンド | SPARX Asset Management


■“Scale Economics Shared”と呼ばれるビジネス ― スパークス・新・国際優良日本アジア株ファンド(愛称:日本アジア厳選投資)

当ファンドが関⼼を抱いている企業の属性の⼀つに、“Scale Economics Shared”(SES)と呼ばれるビジネスがあります。
The Nomad Investment Partnershipの投資家として有名なNick Sleep⽒が、Costco社(⽶国)やAmazon社(⽶国)といった⼩売業における成功事例を精査して考案した⽤語です。SESの中⼼となる考え⽅は単純です。スケールメリットのある企業は、継続的な値下げと顧客に提供する商品やサービスの改善を通じて⾃らが得た恩恵を顧客に還元する、という選択をすることで市場シェアを拡⼤し、結果的に売上⾼と規模をさらに拡⼤することができる、というものです。企業がいったんそうした状態に達すると、フライホイール効果(⼩さな成功を積み重ねることで継続的にビジネスを成⻑させる好循環が⽣まれること)が⽣じます。つまり、企業が成⻑するにつれ、競争上の優位性と顧客の愛着度が⾼まるため、競合先がますます対抗しにくくなるのです。
Costco社とAmazon社は、SESを体現した企業の典型例です。Amazon社の場合、顧客に還元される恩恵とは、1) 値下げ、2) 配送の迅速化、3) 品揃えの充実、4) 満⾜度の向上(商品の返品のしやすさなど)が挙げられます。企業がSES戦略を実⾏するには、短期的利益を追求せず、⻑期的利益を志向する必要があります。Amazon社とCostco社は利益を顧客に還元して市場シェアを拡⼤していただけであるにもかかわらず、市場からは⻑らく利益率の⾯で構造的問題を抱えていると考えられていました。企業は顧客を志向し、顧客が本当に欲しがっているものを決して⾒失わないようにする必要もあります。最後に、“Scale Economics Shared”という⾔葉が⽰すように、企業にはスケールメリットと効率的なコスト構造が必要です。SESはコンセプトこそ単純ですが、実⾏は困難なのです。
当ファンドは先⽇、韓国最⼤級のeコマース(電⼦商取引、EC)プラットフォームであるCoupang(韓国/⼩売)を組み⼊れました。これは同社が前述のSESの枠組みによく当てはまると考えたためです。韓国のEC市場はかねてから細分化しており、Coupangの2021年の市場シェアは約18%に過ぎません。EC市場にはこれといった特徴のないマーケットプレイス企業が無数に乱⽴し、どこも市場シェアを伸ばすことができない状態が⻑く続いていました。Coupangは当初、Groupon社(⽶国)のグループ購⼊というビジネスモデルを模倣しました。CEOのBom Kim⽒はその後、韓国ではユーザー体験を改善する余地があることに気づき、⾃社で在庫を所有するファーストパーティ型の⼩売モデルへのシフトを決定しました。その上で、独⾃の物流ネットワークを構築し、ユーザー体験全般をコントロールしています。⾃社で構築した物流ネットワークとファーストパーティ型のビジネスモデルが奏功し、同社は迅速な配達(翌⽇配達)、低価格、⾼いサービス⽔準で有名になりました。こうした取り組みによって、同社は差別化に苦戦する他のECプラットフォームから⼤きな市場シェアを奪い、韓国最⼤級のeコマース企業に成⻑しました。同社の市場シェアは、2018年の7%から2021年には約18%まで上昇しています。

※さらに詳しく「Coupang」についてご紹介しています。
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■業績の回復・正常化が期待される中小型株 ― スパークス・プレミアム・日本超小型株式ファンド(愛称:価値発掘)

インフレ懸念は継続しておりますが、欧⽶ではその勢いは鈍化しており、急激な円安も落ち着きつつあります。これに伴い、原価上昇に苦しんでいた⽇本企業も価格転嫁や⽣産の正常化が進み、今後は業績の回復、正常化が期待されます。新型コロナウイルスの感染者数は再び増加しておりますが、経済活動は正常化が進んでおり、年末年始に向けて国内消費も回復することが期待されます。景気後退のリスクが海外に⽐べ相対的に⼩さく、業績改善余地が⼤きい⽇本企業への海外投資家からの注⽬度が⾼まっており、来年に向けて⽇本株式市場への資⾦流⼊が期待できると考えております。運⽤⽅針としましては、⼀部の成⻑期待銘柄のみが上昇している環境の中で、株価が出遅れている⼀⽅、価格転嫁や⽣産の正常化などで業績回復の可能性が⾼い銘柄への投資を増加させていく⽅針です。また、中⻑期的に成⻑が期待できる銘柄の発掘を⾏ってまいります。 

スパークス・プレミアム・日本超小型株式ファンド | SPARX Asset Management


■投資先企業紹介

光学ガラス部品メーカー「HOYA」 ― スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)

光学ガラス部品メーカーである同社は、⽇本のなかでも極めて収益性の⾼い製造業です。⼿掛けている製品は半導体製造に⽋かせないマスクブランクスやハードディスク⽤ガラス基板といったハイテク部材、メガネレンズ、コンタクトレンズといった⽣活必需品、および眼内レンズや内視鏡といった医療⽤製品など多岐にわたります。
同社が素晴らしいのは過去5年平均ROE19.9%、同10年平均17.9%、同15年平均16.4%、同20年平均17.6%と、どの時間軸でみても⽇本企業の平均を⼤幅に上回る⾼い資本収益性を誇るところです。同社は⾃⼰資本⽐率が平均7〜8割という分厚い資本構造にも拘わらずこれを達成しています。また営業利益は2008年⾦融危機以前のピークから2022年3⽉期にかけて約2倍に成⻑、過去10年の⼀株当たり利益成⻑率は年率16%です。ではどのように経営陣はこれを達成しているのでしょうか︖
⼀つ⽬は、⼿掛けている製品の利益率が⾮常に⾼いということです。最先端の半導体製造に使われるEUVマスクブランクスは世界シェア7割程度、ハードディスク⽤ガラス基板に⾄ってはシェア100%と⾔われています。このため同社は価格決定権が強く、これら製品の営業利益率は5割を超え、⼤きな超過利潤を得ることができていると考えます。同社の基本的な事業戦略に「⼩さな池の⼤きな⿂」という考え⽅があります。これはニッチ市場において圧倒的なシェアを獲得すれば、⾼い利益率を確保できるという意味です。実際、マスクブランクス、ハードディスク⽤ガラス基板などは世界市場規模が1,000億円〜1,500億円程度の「⼩粒」な分野です。しかし、これらの市場は成熟産業ではありません。今後市場拡⼤が続くことで同社の売上成⻑が期待されます。
⼆つ⽬は、⽣産設備などの資産効率が⾼いということです。同社のキャッシュフロー計算書を時系列で⾒ていくと、多くの年度において設備投資額が減価償却を下回っています。このため2008年3⽉期時点で1,522億円あった有形固定資産(純額ベース)は、2022年3⽉期においても1,697億円と微増に留まっています。それにも拘わらず、同社の連結売上は4,816億円から6,614億円へと約4割増えているのです。これは同期間にかなり効率的あるいは価格競争⼒のある経営が⾏われていたことを意味します。実際、同社は設備投資の経営判断を⾏う際、確度の⾼い顧客企業の短中期的な需要⾒通しのみを前提に⽣産能⼒増強を⾏うように⼼掛けています。このため、⽣産設備の稼働率は常に8割程度とフル稼働に近い状況が維持されています。
三つ⽬は、時代を通じて事業ポートフォリオの取捨選択を⾏っている点です。同社は1941年の創業です。当初はクリスタル⾷器製造を⾏い、その後1960年代にメガネレンズ、1970年代にコンタクトレンズ、半導体マスクブランクス、1980年代に眼内レンズ、1990年代にハードディスク⽤ガラス基板、2007年には内視鏡(ペンタックス㈱を買収)など、それぞれ有望市場と思われる分野に参⼊しています。⼀⽅で、2009年には祖業ともいえるクリスタル事業から撤退、2010年にはHDDガラスディスクのメディア事業から撤退(現在は基板事業に特化)、2011年にはペンタックス㈱買収時に取得したデジタルカメラ事業を売却するなどをしています。これによって常に収益性が⾼く、将来の展望が明るい製品群を維持し続けていると考えられます。
四つ⽬は、余剰資⾦を活⽤した⾃社株買い・消却によって株主資本の過度な膨張を防いでいるという点です。⾼い競争⼒からこれまで継続的に⾼⽔準の利益を⽣み出し、例えば同社の⾃⼰資本⽐率は2008年3⽉期の57%から2015年3⽉期に81%へと上昇しましたが、それ以降は⾃社株買いを定期的に⾏うようになっており、同⽐率は80%前後で安定推移しています。⾃⼰資本⽐率8割というのは同社の潜在的な事業リスクに対して過剰だとも⾔えますが、少なくとも⾼いROE維持の妨げともなりうる、必要以上の⾃⼰資本の積みあがりは抑えられていることがわかります。また⾃社株買いを⾏うようになって以降、⼀株当たり利益の成⻑率は当期利益全体の成⻑率を約1%強上回る状況が続いています。これは定期的に買い⼊れた⾃社株の消却を⾏なっているためです。
最後に同社はガバナンス⾯でも先進的な会社であることが広く知られています。社外取締役を置くようになったのは1995年と早く、また2000年代初頭には半数以上が社外取締役となるよう定款に定められています。経営の執⾏と監督の分離がしっかりと⾏われている模範のような会社と考えます。


スパークス・新・国際優良日本株ファンド | SPARX Asset Management


環境保全事業を中心とした機械メーカー「月島機械」 ― スパークス・M&S・ジャパン・ファンド(愛称:華咲く中小型)

2022年9⽉の⽉次報告書で脱炭素化が及ぼす⽇本企業への影響についてコメントしましたが、今回はより具体的に、当ファンドの投資先企業である「⽉島機械」を例に述べたいと思います。同社業績は国内設備投資の減退を背景に苦戦が続いてきましたが、脱炭素化をきっかけとした設備投資需要が中⻑期的な成⻑につながると当ファンドでは考えています。
同社は1905年創業の⽼舗機械メーカーで、祖業である製糖業向けに晶析、ろ過、遠⼼分離、乾燥などのコア技術を獲得、その後それら技術を応⽤して事業拡⼤を続けてきました。現在は⽔環境と産業の2事業を有しています。⽔環境事業は特に下⽔処理場向けに⾼い技術⼒を持ち、下⽔汚泥燃料化やバイオガス発電では国内シェアNo1を誇っているほか、産業事業では化学や鉄鋼など重厚⻑⼤産業向け廃棄物処理プラントに注⼒、廃液燃焼システムでは国内シェア7割を有しています。しかし同社はこのように⾼いプレゼンスを有しながらも、業績はこの数年間停滞しています。⽔環境事業は1990年代後半に建設された下⽔道設備などが更新時期を迎え受注は⾼⽔準にあるものの、⼈員不⾜など供給体制がボトルネックとなり業績が成⻑していないこと、産業事業は重厚⻑⼤産業の国内需要減少に加え、地政学的リスクの⾼まりや景況感悪化懸念などにより同社顧客企業の設備投資意欲が減退していることなどが背景として挙げられます。加えて前期からは部材調達難も追加的な重⽯となっており、市場参加者からの同社に対する成⻑期待が低下し、株価低迷にもつながっていると考えます。しかしこの1年で、同社を取り巻く環境は好転し始めていると当ファンドでは考えています。脱炭素に向けた設備投資需要が契機となり、⽔環境事業では下⽔処理プラント更新需要、産業事業では国内製造業の設備更新やリチウムイオン電池設備の増産需要が同社の受注拡⼤のけん引⼒となっています。注⽬すべきは、需要が単なる設備の更新ではなく、例えば⽔環境事業においては汚泥をエネルギー源としたエネルギー創造型システムなどといった、設備の⾼度化を伴っている点です。脱炭素・循環型社会構築に向けて廃棄物利⽤の必要性が⾼まっているほか、内需減少から増産投資には期待しにくい国内製造業各社も、⽼朽化設備の刷新投資は避けて通れません。廃棄物の有効利⽤には当社が有する晶析、ろ過、遠⼼分離などの技術が不可⽋であり、機器製造からプラントエンジニアリングまで⼀貫して⾏う当社の競争⼒は依然として⾼いと考えられます。
また、同社は2023年に持株会社体制への移⾏を計画しており、同時に⽔環境事業において同業であるJFEエンジニアリング㈱との統合を予定しています。供給体制がボトルネックであった⽔環境事業にとっては受注規模拡⼤の好機となる可能性が⾼く、処理場の運転管理などの事業での運営効率化も期待されます。統合効果がすぐに発揮されるわけではありませんが、今後数年にわたり合理化による収益の改善余地は⼤きいと当ファンドでは考えています。


スパークス・M&S・ジャパン・ファンド | SPARX Asset Management


半導体用高純度化学材料製造・販売「トリケミカル研究所」 ― スパークス・ジャパン・スモール・キャップ・ファンド(愛称:ライジング・サン)

当⽉は、当ファンドの保有銘柄である「トリケミカル研究所」について紹介します。
同社は、半導体製造特殊ガス製品を中⼼とした⾼純度化学材料を⼿がけています。同社は収益性を重視した⾼シェア・ニッチ製品の開発に注⼒しており、⾼い売上⾼営業利益率が特徴です。また、同社の製品は半導体の微細化や歩留まり向上には⽋かせないため半導体市場を上回る売上⾼成⻑を続けています。2016年にSK Materials社(韓国)と合弁会社として設⽴したSK TRI CHEM社(韓国)(同社持ち分⽐率35%)も順調に業績を伸ばしており、2023年1⽉期の持分法による投資利益は26億円程度(会社計画経常利益の40%弱)に拡⼤する⾒込みです。短期的には半導体市場が調整局⾯に⼊ることで成⻑率が鈍化する可能性が⾼いと思われますが、同社は調整局⾯(半導体会社の稼働率低下時)こそ新製品の認可を取得するチャンスととらえており、今後順次新製品を投⼊していく予定です。実際、前回の半導体市場の調整局⾯(2017年〜2019年)でも増収増益を維持しその後の回復局⾯で⼤きく業績伸ばした実績もあり、同社の中期的な成⻑性に当ファンドでは注⽬しています。


スパークス・ジャパン・スモール・キャップ・ファンド | SPARX Asset Management


住宅ローン保証企業「全国保証」 ― スパークス・少数精鋭・日本株ファンド

全国保証は独⽴系住宅ローン保証の⼤⼿企業です。住宅ローン保証事業とは、住宅ローンを借りる⼈から保証料をもらう代わりに、同社が連帯保証⼈となる事業を⾔います。住宅ローンの借⼊⼈が返済出来なくなった場合、保証会社である同社が⾦融機関に住宅ローンを弁済し、住宅ローンの担保物件(住宅)を売却して弁済資⾦を回収する事業モデルです。住宅ローン保証は⾦融機関の⼦会社が提供するのが⼀般的ですが、同社はどの⾦融機関にも属さない独⽴系企業です。同社は1981年に厚⽣年⾦転貸住宅融資の保証業務を担う⽬的で設⽴されましたが、業容転換のために1997年から⺠間⾦融機関向け住宅ローンの保証業務に参⼊します。当時、⼤⼿⾦融機関は⼦会社の保証会社のみを使っていたため、全国保証は、信⾦・信組など、中堅・中⼩⾦融機関への保証業務に注⼒し成⻑してきました。中堅・中⼩⾦融機関への保証業務の提供を通じて、同社は与信能⼒や審査時間の短縮化などサービス品質を磨き上げてきました。今⽇では、同社は与信能⼒、⾼いサービス品質を活かし、メガバンクを含む多数の⾦融機関に住宅ローン保証を提供しています。
同社の保証残⾼は1998年の1兆円から2022年3⽉末には15.3兆円まで増加しています。特にリーマンショック以降、同社の保証残⾼は⼤きく増⼤し、⺠間住宅ローン残⾼に占める同社シェアも2022年3⽉末で8.2%まで上昇してきました。その背景には、同社のサービス品質の⾼さに加えて、銀⾏に対するリスク規制強化に伴い、住宅ローン保証を銀⾏グループから隔離したいニーズの⾼まりがあると考えます。銀⾏⼦会社によるローン保証では、銀⾏グループからリスク隔離ができないためです。
当ファンドでは、同社の業績拡⼤が持続すると考え投資しています。銀⾏⼦会社によるローン保証から独⽴系の同社へのシフトが続くことが想定されることに加え、銀⾏の保証⼦会社を買収したり、他社の保証債務の引き受けなどを通じ、残⾼シェアを上げていくことができると思われます。当ファンドでは特に保証⼦会社の買収に注⽬しています。2022年には主要先進国では⻑期⾦利が上昇し、⾦融機関は利ざやを稼ぎやすい環境になりつつあります。⼀⽅、⽇本では⾦融緩和が続いていることに加え、銀⾏間の住宅ローンの貸出競争も激しいままです。このような環境では、銀⾏が⼦会社を通じて住宅ローン保証を提供する経済合理性は少なくなっていると思われます。可能性として保証⼦会社を売却する動きに当ファンドは注⽬しています。
⼀⽅、同社の株価は、同社の成⻑を反映していないと思われます。輸⼊価格の上昇を受け、⽇本でも消費者物価が上昇しています。⼀⽅、⽇本の賃⾦上昇は緩やかであり、結果、実質所得の減少に繋がっています。実質所得の減少は、住宅ローンの返済能⼒の低下に繋がる可能性があります。また⽇銀の⾦融緩和の修正も意識されており、住宅市場そのものの変調も懸念されていると思われます。当ファンドでも、短期的な住宅市場の変調や、貸し倒れの増加は否定できないと考えています。しかし同時に、同社には厳しい環境に耐えられる財務⼒があり、中⻑期的に市場シェア拡⼤による⾼い成⻑があると判断しています。

スパークス・少数精鋭・日本株ファンド | SPARX Asset Management


半導体カスタマイズ企業「ソシオネクスト」 ― スパークス・日本株・ロング・ショート・ファンド(愛称:ベスト・アルファ)

当⽉は当ファンド投資銘柄の「ソシオネクスト」をご紹介します。同社はSoC(System on Chip)と呼ばれる、半導体を顧客ごとにカスタマイズして提供する会社です。富⼠通㈱とパナソニック㈱のそれぞれのロジック半導体事業を分離統合した後、2015年3⽉に事業が開始され、2022年10⽉に東証プライム市場に新規公開しました。当ファンドでは同社の半導体企業としてのユニークなポジションと、半導体市場が停滞する環境下でも維持できる成⻑⼒に着⽬して投資を⾏っています。
事業開始時の同社はテレビ、デジタルカメラ、複写機などに向けて顧客ごとにカスタマイズした半導体を主に販売していました。当時は半導体設計の中核的な部分を顧客が掌握していたこと、同社半導体が使われた最終製品の国際競争⼒が低下していたことから収益性が低い状態にありました。近年は2018年に代表取締役会⻑兼CEOに就任した肥塚⽒の構造改⾰により、中核的な部分まで半導体設計を担うようになり、さらに⾞載⽤途、データセンター向けなど需要が伸びる領域を開拓することで収益性は改善傾向にあります。顧客ごとにカスタマイズする必要があり⼿間のかかる事業ですが、その⼿間が参⼊障壁になっており、同社のユニークなポジションを形成する要因になっていると考えます。
2023年の半導体市場は前年⽐で縮⼩するとの報道が⽬⽴ってきました。しかし、同社に対する需要は拡⼤が続くと当ファンドでは考えています。これは先述のとおり、需要の強い領域に注⼒していることがその理由です。また、同社売上の先⾏指標となる商談獲得⾦額の増加も成⻑の確からしさを⽰しているものと考え、投資を⾏っています。

スパークス・日本株・ロング・ショート・ファンド | SPARX Asset Management

こちらのファンドも同じ内容を取り上げております。
スパークス・日本株・L&S↓
スパークス・日本株・L&S | SPARX Asset Management


食品会社「CJ Cheiljedang Corporation」 ― スパークス・韓国株ファンド(愛称:韓国厳選投資)

当⽉は、新規組⼊銘柄の「CJ Cheiljedang Corporation」についてご紹介します。同社はソウルに本社を置く⾷品会社です。主⼒事業は⾷品原材料(砂糖、⼩⻨、⾷⽤油など)、⾷品(常温、冷蔵、冷凍⾷品)、物流、バイオテクノロジー(MSG、リシンなど)、加⼯⾷品、動物⽤飼料です。⽶国、中国、ベトナム、⽇本、ドイツなどにオフィスを構え、世界的に事業を展開しており、同社のパッケージ⾷品は100ヵ国以上に輸出されています。同社のブランドには、Mandu(韓国の餃⼦)で世界的に有名なBibigo、Gourmet、Hetbahnなどがあります。輸出は⾷品部⾨の売上の48.7%(2021年度実績)を占めています。韓国の⾷品輸出は増加の⼀途を辿っており、コロナ禍をきっかけに⾃宅でできる簡単料理の需要が伸びたこと、発酵⾷品の⼈気が拡⼤していること、同社製品が韓国のマルチメディアコンテンツで取り上げられて認知度が向上したことなどから、同社の売上が伸⻑しました。⾷品事業は継続的に売上を伸ばしていますが、これは主として調理済み⾷品に対する需要が構造的に増加していること、値上げを⾏ったこと、国外情勢の後押しがあることによります。不採算チャネルの閉鎖、市場競争の全般的な減少により、収益性も上昇傾向にあります。バイオ事業は、2011年以降の供給過剰による減益に対応するため、製品ポートフォリオを多⾓化しています。特殊アミノ酸市場はまだまだ⼩規模ですが、参⼊障壁が⾼いため、競争はさほどありません。そのためバイオ事業の成⻑と収益性は妥当な⽔準を保っています。穀物の価格上昇に起因するコスト負担の増加は、現⾏の株価⽔準に既に織り込まれていると考えます。2023年度の予想PERは7.7倍で成⻑モメンタムが⼤きいにもかかわらず、株価は過⼩評価されているというのが当ファンドの⾒⽅です。
当ファンドの組⼊銘柄のファンダメンタルズは、依然として損なわれていないと私どもは考えていますが、今後も慎重に注視し、投資⽬的との整合性を保っていく⽅針です。当ファンドは、韓国における事業の魅⼒と構造改⾰だけを原動⼒に持続的かつ⻑期的な成⻑を遂げると考えられる銘柄を厳選し、ポートフォリオを構築してまいります。

スパークス・韓国株ファンド | SPARX Asset Management


デジタルペンタブレットメーカー「ワコム」 ― スパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンド(愛称:対話の力)

ワコムは、1983年に埼⽟県で創業したデジタルペンタブレットメーカーです。1984年に世界で初めてコードレス・ペンタブレットを発表し、今⽇ではプロの⼯業デザイナーやクリエイター向けのペンタブレットで世界的に⾼シェアを誇る企業です。同社事業は、⾃社ブランドのペンタブレットを販売する「ブランド製品事業」と、スマホ・PCメーカーなどの他社向けにデジタルペン部品をOEM供給する「テクノロジーソリューション事業」に分けられます。例えば、Samsung Electronics社(韓国)のGalaxyシリーズのスマホやタブレットに対応したタッチペンであるSペンには、ワコムの技術が搭載されています。社会のさまざまな領域でデジタルコンテンツが急増していく中、ワコムのもつ圧倒的なデジタルインク技術の価値は⾼まり続けると当ファンドは考えています。
(中略)昨今、企業において「ビジョン(ありたい姿)・ミッション(果たすべき役割、存在意義)・バリュー(価値観、⾏動基準)」を明確にすることが求められていますが、ワコムは⾃らの使命と役割を明確に定義し、実践している好事例であり、同社がコネクテッド・インクのような場を設ける意義は極めて⼤きいと当ファンドは考えます。実務的な⾔い⽅をすれば、同社を取り巻くステークホルダーが「⽬的を共有し意識をすり合わせる」ことができる絶好の機会だからです。パートナー企業との間では、お互いのパートナーシップが⽣む価値や成果をどのように外部に発信するかについて議論を深める機会となります。ワコム社員にとっては、⾃分の会社が社会の中で担いうる役割を再認識し、⽇々の仕事がどのような価値を⽣んでいるのかを実感する良い機会となっているのではないでしょうか。そして同社の株主・投資家にとっても、コネクテッド・インクを体感することで、「ワコムという会社とは何なのか。ワコムを通じて⾃分たちは何に投資しているのか。」ということを、個別の解釈に差はあっても、よりリアルに実感することができる機会になっていると考えます。同社を単なる⺠⽣機器メーカーだと⾒れば、現在の同社株価はフェアバリューだと評価すべきかもしれません。しかし、同社が社会に対して提供しうる価値を、デバイスメーカーとしての⽴ち位置を超えてより⼤きな枠組みの中で定義し、それを対外的に発信・共有することにも積極的に取り組んでいる点を当ファンドは⾼く評価しており、同社の実態価値と現在の同社株価には、バリュー・ギャップがあると⾒ています。
⾜元で同社業績は調整局⾯にあり、前⽉には2023年3⽉期通期業績予想を下⽅修正しています。この背景には、過去2年間で広がったリモートワークやオンライン授業に関連した特需が⼀巡したことや、世界的な景気減速を受けた消費者⼼理の悪化による売上減少に加え、円安進⾏により部材コストが急上昇し、収益を圧迫していること等があります。⽐較的安定的に利益を稼ぐテクノロジーソリューション事業に⽐べ、ブランド製品事業は景気動向に⼤きく左右されやすい性質があります。同社は上述の独⾃ソフトウェアやサービスを軸とした課⾦型ビジネスの確⽴により収益基盤を強化することが求められていますが、同ビジネスの本格的な⽴ち上がりにはもうしばらく時間を要すると⾒られます。当ファンドは、同社の潜在的な成⻑⼒に対する期待を変えていませんが、業績動向を注視しつつ、引き続き株主として経営陣との対話を通じて積極的に企業価値向上を後押しする⽅針です。


 スパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンド | SPARX Asset Management


以上、2022年11月の月次レポートをまとめてみました。どれも盛りだくさんの内容となっておりますので、是非リンクの各投資信託のページへ飛んでいただき、全文をご覧ください!

 

※こちらは2022年11月末のマンスリーレポートをもとに再編集しております。内容はチームメンバーの見解を元に書いているため、スパークス全体の見解とは異なることがありますのでご了承ください。また、記事にある企業名等の内容は参考情報であり、特定の有価証券等の取引を勧誘してはいない点もご理解いただけますよう、お願いいたします。

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